漫画「カムイ伝」の感想

漫画「カムイ伝」は、白土三平による忍者漫画の傑作である。1964年から1971年にかけて『COM』で連載され、単行本は全28巻で刊行された。

物語は、17世紀の日本を舞台に、非人の少年カムイが、忍者として生きていく中で、身分制度や戦争の残酷さ、そして自然の厳しさを経験し、成長していく姿を描く。

カムイは、非人として生まれたために、人間社会から差別され、虐げられる。しかし、彼は忍者として磨かれた身体能力と知恵を駆使して、差別や不正に立ち向かっていく。

その中で、カムイは、農民の少年・正助、武士の少年・竜之進と出会う。三人は、身分や立場を超えて、友情を育んでいく。

しかし、彼らの前に立ちはだかるのは、厳しい現実である。正助は、農民一揆に参加して命を落とし、竜之進は、戦場で命を落とす。

カムイは、悲しみと怒りを胸に、忍者として生きていく決意をする。

カムイ伝」は、単なる忍者漫画にとどまらず、封建社会の矛盾や戦争の残酷さ、そして自然の厳しさを描いた、社会派漫画としても高い評価を受けている。

以下に、私が「カムイ伝」に感じた点を、いくつか挙げてみたい。

1. 迫力あるアクションシーン

カムイ伝」のアクションシーンは、非常に迫力があり、読んでいて手に汗握る。カムイの華麗な忍術や、敵との死闘は、息を呑むほどである。

特に、カムイが風車手裏剣を駆使して戦うシーンは、圧巻である。風車手裏剣は、カムイの代名詞とも言える武器であり、その威力はまさに破壊的である。

2. 人間ドラマの深さ

カムイ伝」は、アクションシーンだけでなく、人間ドラマも深い。カムイ、正助、竜之進の三人の友情や、彼らの成長物語は、感動を呼ぶ。

特に、正助の死は、大きな衝撃を与える。正助は、カムイにとってかけがえのない親友であり、彼の死は、カムイの人生を大きく変えることになる。

3. 社会問題への鋭い視点

カムイ伝」は、封建社会の矛盾や戦争の残酷さを、鋭く描いている。カムイは、身分制度や戦争によって苦しむ人々を目の当たりにし、社会の不正に立ち向かう決意をする。

特に、農民一揆の描写は、迫力があり、胸を打つ。農民たちは、飢えと貧困に苦しみ、政府に対する不満を募らせている。そして、ついに、一揆を起こす。

農民一揆は、政府によって鎮圧され、多くの農民が命を落とす。しかし、彼らの死は、決して無駄ではなかった。彼らの闘いは、後の世に大きな影響を与えることになる。

カムイ伝」は、時代を超えて読み継がれる、傑作漫画である。迫力あるアクションシーン、深い人間ドラマ、そして社会問題への鋭い視点。これらの要素が融合し、多くの読者の心を捉えている。

私は、まだ若い頃に「カムイ伝」を読み、その迫力あるアクションシーンと、深い人間ドラマに心を奪われた。そして、社会問題への鋭い視点に、大きな衝撃を受けた。

カムイ伝」は、私にとって、漫画の原点であり、今でも私の心に残る作品である。