漫画「ナンバーファイブ吾」の感想

松本大洋原作の漫画「ナンバーファイブ吾」は、2000年から2009年にかけて月刊IKKIで連載された作品。はるか未来を舞台に、超人集団「虹組」のNo.吾が、恋した女性・マトリョーシカを連れ逃亡する姿を描く。

本作は、松本大洋作品の特徴である、独特の絵柄と世界観が存分に活かされた作品である。荒々しくも美しい絵柄は、読み手に強烈な印象を与える。また、はるか未来のSF世界を舞台に、超人やサイボーグなど、さまざまな要素が入り混じる世界観は、独創的で魅力的である。

ストーリーは、主人公のNo.吾が、なぜ組織を裏切り、マトリョーシカを連れ逃亡したのかという謎を軸に展開される。吾は、虹組のトップであるNo.王の命令で、マトリョーシカを殺すよう命じられるが、彼女に恋してしまい、組織を裏切ってしまう。その後、吾は、マトリョーシカを守るために、追っ手となる虹組のメンバーたちと戦いながら、彼女の過去や真実を探っていく。

吾とマトリョーシカ恋愛模様は、本作の大きな見どころの一つである。吾は、マトリョーシカの純粋で優しい心に惹かれていくが、彼女には、ある秘密があった。マトリョーシカの過去や真実を知ることで、吾は、彼女を守るために、さらなる困難に立ち向かっていくことになる。

また、本作では、No.王を中心とした虹組の内部対立も描かれている。No.王は、平和を守るために、手段を選ばない冷酷なリーダーである。彼は、吾とマトリョーシカの存在を脅威とみなし、彼らを抹殺しようとする。No.王と吾の対立は、本作のクライマックスへとつながっていく。

本作は、単なるバトル漫画にとどまらず、愛や平和、正義など、さまざまなテーマを深く掘り下げた作品である。また、松本大洋作品の特徴である、独特の絵柄と世界観が存分に活かされた、唯一無二の作品である。

以下に、本作の魅力を具体的にいくつか挙げる。

  • 独特の絵柄と世界観

松本大洋作品の特徴である、荒々しくも美しい絵柄は、本作でも存分に活かされている。特に、超人やサイボーグの描写は、迫力満点で、読者の目を奪う。また、はるか未来のSF世界を舞台に、さまざまな要素が入り混じる世界観は、独創的で魅力的である。

  • 愛と平和、正義など、さまざまなテーマの深掘り

本作は、単なるバトル漫画にとどまらず、愛や平和、正義など、さまざまなテーマを深く掘り下げた作品である。主人公のNo.吾とマトリョーシカ恋愛模様は、愛の持つ力や、真実の愛とは何かを問いかけている。また、No.王を中心とした虹組の内部対立は、平和の在り方や、正義とは何かを問いかける。

  • 伏線の張り巡らされた緻密なストーリー

本作は、伏線の張り巡らされた緻密なストーリーも魅力の一つである。吾とマトリョーシカ恋愛模様や、No.王の秘密など、さまざまな伏線が張り巡らされており、読者を最後まで引き込んでいく。

松本大洋作品の特徴である、独創的な表現も本作の魅力である。例えば、No.王の狂気や、マトリョーシカの悲哀などが、独特な絵柄や演出によって、鮮明に表現されている。

このように、本作は、独特の絵柄と世界観、深いテーマ性、伏線の張り巡らされたストーリー、独創的な表現など、さまざまな魅力を兼ね備えた作品である。松本大洋作品のファンはもちろん、SFやバトル漫画、恋愛漫画など、さまざまなジャンルの漫画が好きな人にも、ぜひ読んでいただきたい作品である。