漫画「機動戦士ガンダム THE ORIGN」の感想

漫画「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」は、富野由悠季監督によるSFアニメ「機動戦士ガンダム」の原点となる物語を描いた作品です。2006年から2011年にかけて雑誌「ガンダムエース」で連載され、2010年から2016年にかけてテレビアニメ化されました。

本作は、ジオン独立戦争の勃発から終結までの約10年間を、シャア・アズナブルの視点から描いた物語です。シャアの幼少期から青年期までの成長を軸に、ジオン軍の台頭と転落、そしてシャアの運命の軌跡が描かれます。

本作の最大の魅力は、シャアのキャラクターの深掘りです。TVシリーズでは、シャアは「赤い彗星」という異名を持つ謎めいた人物として描かれていました。しかし、本作では、シャアの幼少期のトラウマや、ジオン軍に身を投じていく過程、そして理想と現実の狭間で葛藤する姿が丁寧に描かれています。

シャアの幼少期は、両親の離婚や、ジオン独立戦争の勃発によって、不安定な環境の中で過ごしていました。その経験から、シャアは「力こそがすべて」という信念を抱くようになります。そして、ジオン軍に入隊したシャアは、モビルスーツパイロットとして頭角を現し、次第にジオン軍の中心人物へとのし上がっていきます。

しかし、シャアはジオン軍の理想と現実の狭間で葛藤します。ジオン軍は、地球連邦政府から独立を勝ち取るという理想を持っていました。しかし、その理想を実現するためには、民間人の犠牲もいとわない過激な手段をとるようになります。シャアは、そんなジオン軍のやり方に疑問を抱きつつも、理想を実現するためには手段を選ぶべきではないという信念を貫いていきます。

そんなシャアの葛藤は、彼のキャラクターの複雑さや魅力を際立たせています。TVシリーズでは、シャアは「悪役」として描かれていましたが、本作では、彼の理想や信念が理解できるからこそ、より魅力的に映ります。

また、本作では、ジオン独立戦争の背景も丁寧に描かれています。ジオン軍の台頭や転落の要因は、地球連邦政府の腐敗や、ジオン軍の過激な思想など、複雑に絡み合っています。本作では、そうした背景を踏まえて、ジオン独立戦争をより深く理解することができます。

さらに、本作では、TVシリーズでは描かれなかった新たなキャラクターやエピソードが追加されています。その中でも、シャアの幼馴染であるセイラ・マスとの関係は、本作の重要なテーマの一つとなっています。セイラは、シャアの理想を理解し、支えてくれる存在です。しかし、シャアの理想と現実の狭間での葛藤は、セイラとの関係にも大きな影響を与えていきます。

本作は、シャアのキャラクターの深掘りや、ジオン独立戦争の背景描写など、TVシリーズでは描かれなかった新たな魅力を詰め込んだ作品です。ガンダムファンはもちろん、そうでない方にもぜひ読んでいただきたい作品です。

以下に、本作の具体的な感想を、いくつか挙げさせていただきます。

  • シャアの幼少期のトラウマや、ジオン軍に身を投じていく過程、そして理想と現実の狭間で葛藤する姿は、とてもリアルで共感できました。
  • ジオン独立戦争の背景描写は、とても丁寧でわかりやすかったです。
  • シャアの幼馴染であるセイラ・マスとの関係は、とても切なく、印象に残りました。

本作は、ガンダムという作品の新たな魅力を教えてくれる、とても素晴らしい作品だと思います。