漫画「風と木の詩」の感想

竹宮惠子による漫画「風と木の詩」は、19世紀南仏を舞台に、孤独な少年2人が出会い、惹かれ合いながらも、社会や周囲の偏見に苦しみながらも、愛を貫き通す物語です。

この作品は、1976年に少女漫画雑誌「花とゆめ」で連載開始され、1980年に単行本全24巻で完結しました。単行本発行部数は400万部を超え、1983年にはアニメ化もされました。

私は、この作品を初めて読んだのは、小学生の頃でした。当時は、まだ同性愛に対する理解が十分に浸透しておらず、この作品の描く世界観は、とても新鮮で衝撃的でした。

主人公のセルジュは、貴族の父とジプシーの母の血を引く、黒髪と青い瞳の少年です。彼は、周囲から疎外され、孤独に生きていました。

ある日、セルジュは、転校生のジルベールに出会い、一瞬で心惹かれます。ジルベールは、自由奔放で、誰もが振り向く美少年でした。

セルジュとジルベールは、すぐに恋に落ちますが、彼らの愛は、周囲から理解されず、さまざまな困難に直面します。

セルジュは、ジルベールを守るために、さまざまな決断を迫られます。そして、ジルベールは、セルジュの愛に応えるために、自らの生き方を変えていきます。

この作品は、単なるボーイズラブ漫画にとどまらず、愛と孤独、自由と束縛、そして、生きることの意味など、さまざまなテーマを深く掘り下げた作品です。

まず、この作品の大きな魅力は、登場人物たちの繊細な心理描写です。

セルジュは、純粋で、誰かを愛することに臆病な少年です。彼は、ジルベールの愛に戸惑い、苦しみながらも、やがて、彼を守るために強く成長していきます。

ジルベールは、自由奔放で、誰もが振り向く美少年です。しかし、彼は、周囲の期待に応えようと、自分の本当の姿を隠しながら生きていました。セルジュとの出会いによって、彼は、本当の自分を受け入れ、生きていくことができるようになります。

また、この作品は、美しい自然の描写も印象的です。

南仏の豊かな自然は、セルジュとジルベールの愛を、より一層美しく、儚いものに見せてくれます。

そして、この作品は、読者にさまざまな問いかけを投げかけてきます。

「愛とは何か?」「生きるとは何か?」「自分は何のために生きるのか?」

この作品を読むことで、読者は、自分の生き方について、改めて考えさせられることでしょう。

私は、この作品を何度も読み返し、そのたびに新しい発見があります。

この作品は、私にとって、人生の指針となるような、大切な作品です。

以下に、この作品の特に心に残ったシーンをいくつか挙げたいと思います。

  • セルジュが、ジルベールのことを初めて好きになったときのシーン
  • セルジュとジルベールが、初めてキスをしたときのシーン
  • セルジュが、ジルベールを守るために、オーギュストの元から連れ去ったときのシーン
  • ジルベールが、セルジュの愛に応えるために、自らの生き方を変えたときのシーン

これらのシーンは、どれも、とても印象的で、心に深く刻まれています。

この作品は、時代を超えて、多くの人に愛され続ける、不朽の名作だと思います。